今年の1月、春節を控え新型肺炎やばくなるかもみたいなタイミングで東京出張に行ってきました。年に2・3回東京に行くことがあるんですがいつも半分仕事半分羽休めです。
カメラ以外の機材が多く極力荷物を減らしたかったので今回は仕事のポートレートはSEL85F14GM、翌日の街歩きではSEL2470GMを使いました。
実質仕事したのは30分くらい
もらったパンフレット
今回の東京出張は、大河ドラマ「麒麟がくる」主演の長谷川博己さんをNHK放送センター内で撮影することでした。明智光秀が主人公の戦国もので、もちろん滋賀も舞台になります。背景紙から照明機材まですべて持参の撮影で、何よりも滋賀から目的地まで機材を運ぶのが大変でした。
撮影前には第一話の完成試写会があり、小さな映画館くらいの環境で本編をフライングで楽しむことができました。
一緒に配布された歴代大河のリスト
まともに見たのは中学校の武蔵以来です。
宿泊先はThe Millennials Shibuya
宿泊先はいつも東京駅近くにとることが多いですが、今回は機材の関係もあって渋谷に。渋谷の繁華街なんて何年ぶりかという感じです。ちょうど再開発で新しい商業施設が乱立しているということでかなり人が多く圧倒されました。
ホテルも比較的新しいThe Millennials Shibuya。所在地自体はわかりやすいんですがエントランスが目立たず狭くて暗いので初めて行く方は見落としに要注意です。
いわゆるカプセルホテルですが、空間、設備は洗練されておりもちろん清潔で整っていてサービスも良いです。外国から来られている方が多く、海外のホステルに素泊まりしたような感覚になれます。どことなく漂う匂いもヨーロッパにいたときの雰囲気でした。
おすすめです。
東京二日目は東京国立近代美術館 工芸館へ
東京国立近代美術館 工芸館といえば、金沢へ移転することが決まっていて現在の建物で国立工芸館の展示を見られるのは3月8日まで。収蔵品はもちろん金沢へ行くでしょうし、この建物も何かしらの用途で使われるでしょうが、東京国立近代美術館 工芸館としての展示は最後です。一見の価値ありです。
3月8日までです!
国立と銘打つ素晴らしい施設ですが、アクセスには地下鉄から結構歩く必要があります。10分くらいですが。
ここ北の丸公園内には、武道館や科学技術館などもあります。科学技術館には修学旅行と思われる子どもたちを乗せたバスが何台も来ていました。
皇居の外苑にあたるエリアになりますので散策にもおすすめです。私は九段下駅からアクセス。平日ということもありますが全然人はいませんでした。東京の美術館などは平日でもかなり人がいるのでここは結構穴場かな。
人気の少ないひっそりとしたアプローチ。
みどりのトンネルを抜けると現れる荘厳な赤レンガの建物。1910年に近衛師団司令部庁舎として建築されたようです。
工芸館の画像を調べるとたいてい斜めからしか全景の写真が出てきませんが、それもそのはずで正面から全景を写すのは難しいポジションです。
昭和の保存活用工事の結果当時の姿を残している中央の階段回りとホールの部分くらいのようです。展示で観覧できる和室、展示室は谷口吉郎の設計。谷口吉生もうそうですが素晴らしい建築家です。
展示室は二階に。一番感動したのは階段を上がってすぐのホールにある黒田辰秋の椅子!しかも座れます。座面はフラットですし座り心地が素晴らしいかといえばそれほどまでではないですが至福のひとときを過ごせました。
背もたれに彫られた彫刻は彼の作品でよく見るモチーフですが、これに背を預けるとつぼが刺激されるのか気持ちが良かったです。
順路的には最後の方ですが、谷口吉郎の手による和室の写真を先に。派手さや華美な装飾はありませんが端正な佇まいです。豊田市美術館の敷地内に谷口吉生設計の茶室がありますが、そこに通ずる設計思想を感じます。
工芸の歩んできた歴史のアウトラインを辿れるという意味でも素晴らしい企画展ですが、やはり展示物が素晴らしい。別に解説なんか一切見なくてもただただ眼福です。
これも工芸なの?現代美術?と思うような展示もありますが、解説を読むとそこにいろいろなストーリーや葛藤があり工芸を取り巻く日本の歴史が垣間見えます。
鈴木重吉【十二の鷹】1893(部分)
鷹を飼いながら制作したというこちらの作品は本物の鷹と見紛うの造形も素晴らしいですが、そこに凝縮された、鋳造、象嵌、彫金など金属加工の技術の高さに驚かされます。
工芸系の展示でこちらも定番。富本憲吉【白磁八角蓋付壺】
厚く柔らかい白磁釉による作品で、轆轤の美しさや面取りの正確さなど繊細な仕事の垣間見える逸品です。
展示されているものはどれも素晴らしいですが、やっぱり個人的に関心の高い民藝に目が行ってしまいます。その中でも今回見れてよかった一番の作品は、写真右上の大皿、バーナード・リーチの【鉄釉抜絵巡礼図皿】でした。
こうした工芸関係の施設に来ればこちらも定番の芹沢銈介。この偉人に関しては有名すぎて語ることはないですが、入館の際に配られるカタログの本の数百字の解説だけで彼の人間性、作品の魅力が十分に伝わってきます。
もちろん河井寛次郎も。行ったことのない方は是非京都の河井寛次郎記念館へ。河井寛次郎の陶芸、彫刻等が好きでないという人でも彼の住居の中でそれを見ると印象は変わるはずです。
そして濱田庄司。彼の作品は特に好きでも嫌いでもありませんが、やはり作品に込められたエネルギーには圧倒されます。
黒田辰秋【赤漆流稜文飾手筐】
黒田辰秋といえば「朱漆」のこの作品のようなぐるぐるしたイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。全体に螺旋が走るグルグルとしたフォルム。漆らしい重厚さ静けさがありながら、面が混ざり合うような流動性、黒田辰秋の彫刻全般に感じられる力強さを感じます。
もう一つ展示されている黒田辰秋の棗、【螺鈿白蝶縞中次】も必見です。
技術もさることながら。かわいいですね。
閉館まで残り僅か。ぜひ。。
お昼は神保町でカレー
神保町も大学生以来。神保町といえば本とカレー!ということでカレーを。
スマトラカレーがなんなのか全く知識はないですが老舗?の共栄堂。スパイシーで美味ですがルーとライスの量が合わないのでルーは増量がおすすめです。
ここに来る前にこれまた定番のボンディ神保町本店へ14時前くらいに行ったんですがまだ並んでたので断念。
締めくくりはソール・ライター!
2017年の展示に続いて今回もBunkamura
こちらも3月8日までです!
展示は撮影禁止です。モノクロもカラーも素晴らしい。どれだけカメラやレンズの性能が良くなろうとも、撮影する人間の観察眼と個性、撮りたい作品をイメージする創造力とそれを実現するための技術や忍耐力の必要性を痛感させられる展示です。
これも間違いなく見ておきたい展示です。販売されている図録は購買意欲をそそられない代物です。高くなっても構わないのでもっと良いものにしてほしかった。
その他の写真
工芸館の展示室自体は感動するような作りではありませんが、ファサードとホールは見ておきたい美しさ。ちなみに展示もコンパクトで比較的安く、人も少ないので羽休めにちょうど良い感じです。 人との待ち合わせの時間つぶしに神保町で立ち寄ったカフェ【カンダコーヒー】
自家焙煎でコーヒーを出すお店。かなり狭く席数も限られますが居心地は悪くない。飲んだコーヒーも浅めで酸味の強い豆でしたが好みでした。豆も買えます。
以上。