Voigtlanderの65mmマクロをちょっと使ってみて

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/40s f/2.0 ISO100

昨年の12月に購入した MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical。ばたばたした年末にまぎれて全然持ち出して撮影できていませんが、一ヶ月使ってのレビューを簡単にします。

目次

スペックおさらい

絞り F2.0 – 22
最短撮影距離 0.31m
最大撮影倍率 0.5倍
フィルター径 67mm
レンズ構成 8群10枚
絞り羽 10枚
サイズ ø78.0mm x 91.3mm
重量 625g

購入する人はわかって買うと思いますが、注意点はマニュアルフォーカス専用レンズであること。高速なAFや瞳AFなどは使えないのでαの長所を活かせませんが、EVFおよびライブビューで使用可能なMFアシストはじっくりピントを追い込むときにかなり便利です。

マニュアルフォーカスリングは適度に重たく、回転角は近接から無限遠まで310度と微妙なピントを追い込むことに照準を合わせて設計されている事がわかります。なのでじっくり撮るときにはいいですが、スナップなどで手元から遠い位置にピントを合わせようとするのに苦労します。

MFアシスト:マニュアルフォーカス時にフォーカスリングを回すと、自動で拡大表示してピントをあわせられる機能です。

他の印象としては、意外に大きく重たいことと総金属のボディは高級感があります。

マクロレンズとは

そもそもマクロレンズとは、被写体を1/2倍から等倍で写すことができるレンズのこと。スペックの撮影倍率に0.25倍とか1/2倍などと書かれている部分です。

このレンズは0.5倍と書かれているのでいわゆるハーフマクロと言われるレンズです。

ちなみにマクロレンズというと接写で昆虫や花を大きく撮影しているため、被写体に寄れるレンズという印象もありますが、最短撮影距離はマクロレンズの定義とは関係が有りません。あくまで大きく写せるレンズです。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/200s f/2.0 ISO100

まずはマクロだから撮れるシチュエーションから

せっかくのマクロレンズなので、被写体を大きく写したいシチュエーションで。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/25s f/4.0 ISO100
陶器の表面を覆うガラス質の釉薬の貫入(ひび割れ)まできっちり解像。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/250s f/2.0 ISO100
金属のカトラリーの槌目とそこに反射する光をつややかに写し出しています。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/250s f/2.0 ISO100
開放ですでにピント面の解像力には目を見張るものがあります。吹きガラスの微妙な揺らぎや、鉄のテーブルのテクスチャーが目で見るより鮮明に。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/2500s f/2.0 ISO100
f値開放で最短撮影距離を撮影するとピント面が薄く帯のように現れます。後ボケが綺麗なのはもちろん、前ボケが汚いという印象は受けません。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/300s f/2.0 ISO100
撮影距離的にはそれほど近くはありませんが、高い拡大すると葉脈の一本一本が鮮明に浮き上がります。

普通の写真でも拡大していくと普段目で見えない世界が見えてくるので画像編集時のモニターで見ているときにテンションが上がります。

ボケの印象

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/1600s f/2.0 ISO100
スナップ中に撮った一枚で、まずは玉ボケから。絞り羽根が10枚でなめらかな円形のボケが得られます。大口径レンズの宿命ですが、口径食は大きめではっきりとしたレモン型。輪線ボケ(玉ねぎボケ)も。これもまた非球面レンズの宿命でしょうか?

SONYはこの輪線ボケ解消のために超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズ”をGMレンズで使っていますが、それでも輪線ボケが現れます。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/2500s f/2.0 ISO100
ぐるぐるします。輪線ボケもしかたない。でも前ボケはきれいかな?植物なんかが前に来るようなシチュエーションでも撮ってみないとわからないですね。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/1000s f/2.0 ISO100
わかりにくいですが、ピント面から前後のボケのつながりはなめらかで、ピントの位置的に前ボケの割合が大きいですが、うるさい印象は特にありません。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/2000s f/2.0 ISO100
後ボケはとろけるようなという表現がぴったりなほど、ふんわりした背景として写り込んでくれます。

逆光耐性

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/5000s f/2.0 ISO100
おそらくフード無しでの撮影だったと思います。逆光でのカット。中央上部左寄りの部分が微妙にフレアがでいるような気がします。また、フリンジは殆ど出ておらず、軸上色収差を徹底して抑えているという「アポクロマート」の素晴らしさが伺えます。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/2500s f/2.0 ISO100
同じ時間帯同じような方角へのアプローチ。これもフードがなかったのかもしれませんが光源方向から白く靄がかかりコントラストが失われています。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/40s f/11.0 ISO100
とはいえ日中の太陽のように強い光源でなければ逆光による影響はほとんど気にならないと思います。

それとまだ試せていませんが、せっかくの偶数枚の絞り羽根なので絞って光芒がでるようなカットも撮らないといけないという使命があります。

スナップ

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/500s f/2.0 ISO100
水のゆらぎ、沈む葉のテクスチャーまで。マクロレンズなだけあり近接撮影はさすがです。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/3200s f/2.0 ISO100
流線型のフォルムに光が反射する様子が艶めいています。正直トータルデザインでは圧倒的にRX7ですが、リアホイール周りのデザインはRX8もかっこいいですね。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/5000s f/2.0 ISO100
無限遠を開放で撮るのは無謀ですが、こういうシーンでもMFアシストは有用です。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/160s f/8.0 ISO100
周辺減光については現像ソフトの補正をオンにすれば気にならないですが、補正しないとここまで絞っても隅の暗さが感じられます。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/250s f/2.0 ISO100
前述したようにフォーカスリングの回転角は余裕のある設計なので、動物などのスナップショットではリングを回している間にシャッターチャンスを逃してしまいそうです。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/15s f/2.0 ISO100
子供だったりペットだったりすぐにこちらから興味をなくしてしまう被写体は、素直にAFレンズを使ったほうが数を稼げます。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/2500s f/2.0 ISO100
本当に癖がなく、透明感のある描写です。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/200s f/8.0 ISO100
近い距離も楽しいですが、絞り込んだ風景写真も楽しいです。

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/40s f/8.0 ISO100

ILCE-7M3K, MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical, 1/100s f/2.0 ISO100
やっぱり近接撮影。

まとめ

よかったところ

・総金属製の鏡胴の質感が素晴らしい
・マクロ撮影のピント合わせの精度を高める適度になめらかで重みのあるフォーカスリング
・前後ともに素直で美しいボケ
・軸上色収差が抑えられ、不自然な色が発生しない透明感ある描写

気をつけるところ

・玉ボケの口径食と輪線ボケが発生する
・強い光源に対する逆光時の描写(フードで解消?)
・回転角に余裕のあるフォーカスリングはスナップ時の急なピント移動に不便
 →マクロレンズなので仕方ない!

総評

マクロ撮影はもちろん楽しいですが 開放F値2と明るいので、ボケを楽しみながらスナップ撮影にも。開放から高い解像力がありますが、絞ることでよりいろいろな被写体を性格に捉えることができます。マニュアルフォーカスということでスピードが求められるシーンでの仕様は躊躇されますが、マクロからスナップ、風景までこなせる優秀なレンズとしてαユーザー必携の一本ではないでしょうか。


スポンサーリンク

シェアする ≫

フォローする ≫