ちょうどカメラ関係の見本市である「CP+」が開催されていますが、開発の遅いPENTAXよりFA Limitedシリーズのリニューアルが発表されました。このシリーズはレンズのビルドクオリティの高さと独特な焦点距離、そして感性的な指標(官能評価)で光学性能を追求したPENTAXの傑作のレンズ。フィルム時代の設計のレンズで発売から20年近く経っていますが今でも高い人気を誇っています。
今回、円形絞りの採用とHDコーティング化が発表されましたので、以前手放したFA 43mm F1.9 Limitedを購入するつもりでいます。復習のつもりで防湿庫の肥やしになっていたFA 77mmを使ってみました。
最近はDFA★50mmしかほぼつけていなかったので圧倒的な軽さにびっくりしました。本体が重いのでそこそこ重たいですが、軽いにこしたことはないと痛感させられます。
ずっとPENTAXの描写が好きで使い続けていますが、最近はプロダクトからWEB、パンフに至るまでデザインが結構微妙で新しいPENTAX製品を買う気が一切起きませんが、このlimitedレンズのクオリティには本当に惚れ惚れします。
仕事となるとまた別ですが、趣味で使う分にはカメラの性能も、レンズのMTF曲線とか解像感とか正直もうどうでも良くなって来たので、メーカーには持っていて所有欲を満たせるデザインのプロダクトを作ってもらえたら嬉しいなと思います。
そういう意味でFA LimitedシリーズとK-1の組み合わせは気に入っていて、趣味的に使い続けていけそうです。αは仕事で使っているのでもはや手放せませんが、趣味の玩具にする気にはなれないような。
本題のFA 77 Limitedですが、本当に久しぶりにつけたので買ったときのように眺めたりしていますが、AFモーターがここまでうるさかったことにびっくりします。77はHD版を買う気はないですがモーターなども改善されていたら嬉しいですね(そのようなことはなさそうです)。
特徴はアルミ削り出しのレンズ鏡筒・フード・キャップと七宝焼のフィンガーポイント。このフィンガーポイントは旧版では31mmと77mmしかついていませんでしたが、HD版では43mmにも設けられました。フィンガーポイントと名前がついて、レンズ交換の際に意味を持ちますが意識して使ったことはありません。デザインのアクセントだけでも十分な存在感です。
”このレンズは「白Yシャツの貝ボタンの輝きを描写する」ことをテーマに作りました。要するに、ハイエストライトを表現するということです。それはもう、完全にヌケを良くしなければ実現できません。”設計者池永 一夫氏のコメント
”開放絞り付近での柔らかさや、赤系色の発色の良さから人物撮影にも最適で、絞り込むことで鮮鋭感、空気感までも操ることができる中望遠レンズです。”HPより引用
最近の流行りの硬質的な解像感の追求ではなく、柔らかさとヌケの良さ(階調の広さ)が特徴ということですが、要するに開放で撮っていて楽しいレンズです。
今回はすべて開放で室内の写真をメインに撮影してみました。
官能評価と先程書きましたがあえて収差を残したりとレンズの持つ個性がはっきりしていて使っていて楽しい部分です。ちょっとわかりにくいですが、パネルラインに沿ってパープルフリンジが出ています。
補正しなければかなりの周辺減光。これもこれで楽しいです。
こうした弱い光の中の陰影をとらえるのが写真の面白さだと思います。
ポートレートで活躍する中望遠の定番といえば85mmですが、これは77mm。この中途半端さまもこのシリーズの特徴ですが、私はこれをポートレートに使っていたので85mmを使うとちょっと狭いと感じてしまいます。
上の写真の右上のように後ボケは被写体やボケ具合によってうるさくざわざわします。
最短撮影距離が700mmなので寄れないし倍率も低いし決して万能な画角ではないですが、このレンズが自分の中で一番しっくり来る焦点距離です。標準レンズではないけど個人的には標準レンズみたいな。
言葉であれこれ書きましたが最高のレンズです。PENTAXユーザーなら必見というか使ったことがないと損してると思います。買いましょう。