先日紹介した「HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」ですが絞り羽根の形状がおかしかったので販売店で交換対応していただきました。GWで交換品の到着に時間がかかりましたが無事交換されたレンズが手元に。
仕様表 | HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited |
絞り | F1.9 – 22 |
最短撮影距離 | 0.45m |
最大撮影倍率 | 0.12倍 |
フィルター径 | 49mm |
レンズ構成 | 6群7枚 |
絞り羽 | 8枚(f3.5まで円形絞り←NEW) |
サイズ | ø64.0mm x 27.0mm |
重量 | 155g/フード付:約163g |
絞りの異常個体の交換品がやってくる
発売日に買ったレンズには絞りの形状がおかしかったので販売店へ交換をお願いし対応してもらいました。その時点でだいぶ熱は冷めましたが気を取り直して開封。
f2.0
f2.2
f2.5
f2.8
これもだめでした。
f2.5
f2.8
f3.2
f4.0
ホームページによると「円形絞り (43mm:F1.9-F3.5)」との記載があります。少なくともこの個体で玉ボケになるのは開放f1.9だけです。
2つ連続でこの状態はひどい。出来るなら交換ではなく返品したいところ。
リニューアルで円形絞りを採用したlimitedシリーズですが製品の品質管理がどうなっているか甚だ疑問。
現在はメーカーに問い合わせ中です。
交換してよかったのはシリアルが二桁になったことくらいです。
開放の描写(周辺減光補正と歪曲補正なし)
ピント面は十分解像力があって明るいレンズらしい立体感がすばらしい。
後ボケが少しうるさい?
前ボケもざわざわしますがこれはこれであり。ただ周辺光量落ちはかなり大きい。
後ボケに難あり。
電線がにじみます。
これだけf4.0に絞って。
十分引き締まります。
俯瞰で地面を平面的に撮ると周辺減光と周辺部の解像力の低下が顕著です。
開放の描写(周辺減光補正と歪曲補正あり)
後ボケは厳しい?
前ボケは柔らかくて気持ちがいいです。
手ブレしてるかと思うような後ボケの具合。収差も目立ちます。
f1.9のボケが生み出す立体感には満足できそうです。
水田に反射した朝日は今だけの景色です。
まとめ(開放での)
気になるところ
- 口径食と2線ボケ
→玉ボケがそんなにきれいじゃない
→後ボケがざわつく - 品質
→2つ続けておかしい絞り羽根、円形絞りにする必要があったのか - 目立つ色収差
- 四隅の甘い描写
- 周辺減光(補正で解決する)
- 今回は開放だけのまとめですが、開放での描写の品質はかなり低い
- AFはPENTAXなので外す確率は高いし、迷うとうるさい
- 寄れない、撮影倍率が低い
→コンパクトで標準より広めの画角は便利だがテーブルフォトには向かない - 開放で使いたいならフルサイズでは厳しい
- 人へはすすめる気にはならない
→レンズのデザインが好きでないなら今更このレンズを買う価値はない - 価格ほどの価値はない
良いところ
- 軽い、コンパクト
- 明るい
- デザインの高さからくる満足感
- 色乗りや階調の高さ
- 柔らかい前ボケ
FA limitedレンズシリーズは味わいを楽しむという側面はあるものの、ボケ自体あまりきれいではなく描写は正直いまいち。中央付近の解像度は十分高いため、周辺部とのその品質のコントラストが独特な立体感につながって印象的な描写を生んでいるのかもしれません。
絞れば描写は安定するはずですのでもう少し使ってみたいと思います。
HD化したことで価格が上がっていますし、味を楽しみたいのであれば旧smcの43mmを中古で買うほうがいいでしょう。実際の品質はわかりませんが、2個体続けて絞りの形状がおかしいのもあってもう少し製品の品質をコントロールして欲しかったです。買ってみた感想としてこの値段で買う価値はないレンズでした。
「平面被写体の数値評価よりも立体被写体の描写力を優先させた設計」ということで光学的な描写の癖は置いておくとして、現在のPENTAXのプロダクトに対する姿勢やこだわりには疑問を感じざるを得ません。