待望のHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWレビュー


PENTAX K-1が登場してからすでに2年4ヶ月、ようやく新しいレンズが先月発売されました。さすがにこの開発の遅さはどうなのかと不満もあり、別メーカーのミラーレスでも導入しようかなと考えてしまいます。とはいえ、待望のDFAスターレンズ初の単焦点。相当高い性能のハードルを設けて開発したというPENTAX渾身の「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」です。

PENTAXというと小型・軽量のレンズという売りだったような気がしますが、DFA★レンズの70-200 F2.8もこのDFA50 F1.4もかなりの重量級レンズです。性能のために大きさ、重量の増加はやむを得ないというスタンスに変わったようですね。それでもDFA★70-200 F2.8は他社に比べ多少重い程度でしたが、このDFA50 F1.4は50mm単焦点と思えない巨大さです。

レンズの概要

最小絞り F16
最短撮影距離 0.4m
最大撮影倍率 0.18倍
フィルター径 72mm
レンズ構成 9群15枚
絞り羽 9枚 (円形絞り~F2.8)
サイズ 80mm x 106mm
重量 910g

スペックを見ると、そこそこ寄れる一方で撮影倍率は普通ですね。それと最小絞りはF16です。
専用のレンズフードとの一体感がたまらなくかっこいいですが、とりあえず巨大です。標準レンズというより、中望遠レンズのような存在感。

フィルター径は72mmとまあまあ大きいサイズ。

サイズ感はフィルター径が82mmのDFA24-70mm F2.8をちょっと細くした程度。ただ、重量は圧倒的に重く910g。K-1本体と合わせると2kg弱なので、標準レンズとはいえ気軽に待ち運べない重量感かもしれません。(右がDFA24-70mm F2.8)

フードを付けるとDFA50 F1.4のほうが大きいです。デザイン的にはフードとの一体感がいいですが、1.4/50の刻印が大きすぎる気がします。


レンズ本体にはAF/MF切替スイッチがついています。またその下にはDFA★のロゴが。単焦点レンズなのでピントリングは幅がかなりゆったり取られています。トルクは軽すぎず重いこともないので追い込みたいときの微調整が容易です。AFは静かでスムーズですが、精度、速さは並ですね。

ファーストインプレッション


Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/60s f/1.4 ISO100 開放から非常にシャープで解像力の高さが見て取れます。ピント面からアウトフォーカスのボケの滑らかさも秀逸です。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/2500s f/1.4 ISO100 ある程度離れた被写体でも、背景がボケてくれます。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/1000s f/2.8 ISO100 あまりいい作例ではないですが、、、このレンズの開発ストーリーなどで語られているボケへのこだわりの通り、柔らかさ、玉ボケの美しさは素晴らしいですね。寄れるとはいえ撮影倍率は平凡ですのでマクロのようにはいきません。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/100s f/1.8 ISO100 ピント面の高い解像力と深い被写界深度を使えば、被写体だけがくっきり浮かび上がります。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/2500s f/1.8 ISO100 一方で前ボケはうるさいような、、、
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/4000s f/1.4 ISO100 それと開放付近では、軸上色収差が気になります。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/800s f/2.0 ISO100 正直ポートレートには中望遠の方が向いていると思うんですが、ふんわり背景をぼかした表現が楽しいレンズです。ただAFの精度、速度がそれほど良くはないのでシャッターチャンスを逃してしまうこともしばしば。ピントを追い込むならライブビューか、クイックシフト・フォーカスが必須です。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/1000s f/5.6 ISO100 開放から非常にシャープで四隅も十分な解像具合。(方ボケテストのために拡大表示したら流石に線がぼやけますが)F5.6まで絞れば四隅までくっきり、波、雲、差し込む光まで表現してくれます。ポートレートから風景まで、オールマイティに楽しめるレンズですが、撮影の幅を広げるのにPLフィルター、NDフィルターはほしいところです。

価格以上の満足感、所有欲を満たすレンズ

標準レンズにしては巨大で重く、k-1と合わせれば2kg弱の重量ですが、他に荷物さえなければ別に苦ではない気がします。これまでレンズを増やす際はなにか具体的な用途のために購入していましたが、今回はそういう目的がありませんでした。それでもデザインや描写性能からいろんなシーンで使ってみたいと思わせる魅力があります。ただ個人的には中望遠の焦点距離が一番楽しいかな、、ロードマップに載っている85mmの発売や105mmなどの中望遠単焦点が欲しくなります。 それと、後ボケがなめらかで美しいのに対し、前ボケは滑らかさにかけうるさくなりがちな印象です。また軸上色収差も想像していたよりも目立ちます。それでもFA77mmlimitedなどに比べると十分すぎるくらい抑えられています。
Pentax K-1, HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW, 1/200s f/8.0 ISO100 変に頭を使い過ぎましたが、スナップは振り切って開放オンリーくらいの気持ちでいれば楽しく撮影ができそう。個人的には、レンズを初めて使った際の感動の大きさはDFA★70-200 F2.8には及びませんでしたが、まず間違いなく買って後悔することはないでしょう。


スポンサーリンク

シェアする ≫

フォローする ≫