6月、例年5-6月は仕事が落ち着くということもあって青森への旅行を計画しました。予想に反し、やらないといけない仕事も重なってしまいましたがなんとか片付けて羽を伸ばすことができました。 一番の目的地は恐山。信心深いわけでもなく、霊などの存在を積極的に信じているということもありませんが、昔から惹かれるものがあり、ようやく念願が叶いました。青森の旅程4日のうち、初日から3日連続で雨という天候で、6月とは思えない寒さ。残念に思う気持ちもある一方で、しっとりと濡れる緑や霧に阻まれる視界が、どこか神秘的で幻想的な雰囲気 に包み込んでくれました。
三大霊場のひとつ恐山
青森空港から下北半島に向かい、むつ市街から恐山へ。 カルデラ湖である宇曽利山湖の湖畔に恐山菩提寺はあり、火山性ガスに包まれる一帯は硫黄臭が立ち込めます。 ついたのは4時くらいだった思いますが、観光バスも来ており雨ではありますがポツポツと人影が。私は観光で来た身でしたが、恐山は供養の場です。その日訪れていた人たちの中にも、さまざまな思い、境遇で訪れていた方もいたのでしょう。 恐山は今からおよそ1200年前、天台宗を開いた最澄の弟子である円仁(慈覚大師)によって開かれたと言われています。 火山ガスの噴出する岩肌一帯は地獄に、そして湖をとりまく白砂の浜は極楽になぞらえられ、千年の永きに渡り信仰と祈りの場として伝えてこられています。
地獄から極楽へ
山門前で入山料を払うとパンフレットがもらえます。基本はこのパンフレットの順路に沿って進みます。 1週は約3キロ。ゆっくり見て回ったりして1時間くらいでしょうか。 噂に違わぬ別世界。供花の代わりに供えられる風車がからからとまわり、殺伐とした景観とあいまってもの寂しさが募ります。 火山ガスの噴き出し口は、硫化物の影響か黄色くなっています。 地獄を抜けると極楽浜が見えてきます。 白い砂浜と、エメラルドグリーンの湖面はこれまでの風景と打って変わり幻想的な雰囲気ですが、このように湖が見えるのは湖内で噴き出している硫化水素の影響だとか。ちょっと暗めに現像していますが、本当に驚くほど鮮やかなエメラルドグリーンです。 対岸にかかる深い霧のせいもあって、あの世という言葉もわかるような気がします。
順路も折り返し
折返し山門へ向かうには再度地獄を通り抜けることになります。過酷な環境からか植生も違うのか、まるで登山をしているような気分になります。 振り返ると絶景が。 小高い丘に見えるのは延命地蔵尊。
境内に湧く4つの温泉
境内には4つの温泉があります。女湯2、男湯1、混浴1の内訳です。混浴だけ外れにあってわかりにくいです。 温泉に入るタイミングは、参拝前にはいり身を清めるのが正しい利用の仕方だそうです。私は宿坊に泊まりましたので、夜も朝も貸し切り状態で利用できました。
思いを馳せる供養の場
その日の天気によるところも多分にあったかと思いますが、絶景に感動しながらも、思いや祈りといった目に見えない気配を感じるというかメランコリックな思いになったような気がします。それは決してネガティブな意味ではなくて、今までは感じたこともない感情というか。 宿坊で流れていた恐山のドキュメンタリーを見て、こんな観光できていいような場所なのかと罪悪感も少しありましたが、宿坊での体験も含めて来られて良かったと思っています。
レンズと設定
青森旅行に持っていったカメラはPENTAX K-1。レンズは、DFA★70-200とDFA15-30、FA77limitedでした。結構な雨だったということもあって、恐山では終始70-200の望遠レンズ。こういうときにAWが活きてきますね。ただ、あたりは薄暗いくて体は冷えるし、レンズは重たいしで終始f値は5.6。もう少し絞ってじっくり写真も取りたかったですが、仕方ありません。